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黒柳徹子さんインタビュー Vol.4

更新日:2023年10月1日

黒柳徹子さんと考える「豊かな普通」



 

出会う縁に感謝し、壁をつくらず積極的に人と対話し、先入観をもたずイマジネーションを働かせ、相手のことをあるがままに理解すること。それが、豊かな生活、豊かな未来に繋がる。


4回のインタビューを通して、黒柳さんは、そう伝えてくれたと思う。ロングインタビューもいよいよ今回で完結。

インタビュー/構成:佐々木誠(映画監督)


ーー 黒柳さんは、長年、ユニセフ親善大使として数多くの国を訪問されています。そのご経験から今、思い浮かぶことはどんなことでしょうか?


黒柳徹子(以下黒柳):まず思い浮かぶのは、エチオピアの痩せ細った子どもたちです。


肋骨どころか、頭蓋骨が浮き出るくらい痩せていました。そういう子どもたちが、風がびゅうびゅう吹く暑い土地で、大人たちの後を付いて歩いていく光景が忘れられません。


ちょうどその頃、日本ではダイエットが流行り始めた時期で、太らないためにどうしたら食べないで済むか、という話を私自身もよくしていたんですね。だから、エチオピアに行って、その子どもたちと会って、私はなんて驕り高ぶっているんだろうと胸が苦しくなりました。


強風の中、身体中の骨が浮き出ている状態で、泣きもしないで歩いているその子たちの姿を目の当たりにして、自分ができることはなんでもやらせてもらいたい、と強く思いました。


それがユニセフの活動を続けることにつながっています。


私も子どもの頃、戦争で食べるものがなくて本当に飢えていましたから、そういう子供たちがどういう思いなのかということがよく分かります。


エチオピア 1992年 © UNICEF/UNI52030/Thomas

ーー今、さまざまな要因から日本も貧困の時代に近づいているようにも感じます。そうなると、子どもたち、そしてマイノリティとカテゴリーされる人たちが、まずその問題に直面してしまうことになります。


今回、トモエ学園の跡地で開業するJIYUGAOKA de aone(自由が丘デュ アオーネ)は「豊かな普通」をコンセプトにしているのですが、そんな問題に直面する人々が「豊かな普通」を暮らして行くためには、どうしたら良いのでしょうか。


黒柳:そうではない人たちが動かないとダメだと思います。


やっぱり他者に対して、イマジネーションを持って、向き合うことが何よりも大切です。自分よりひどい環境に生きている人たちに対して、愛を持って「自分の身に起きたらどうするか」ということを考え、行動すること。

そして他人の子供でも自分の子どもと同様、大切に思って見守るということが本当に大事だと思います。


ーーそれを身近なところから始める、ということでしょうか。


黒柳:ええ。遠くの困っている人を助けるために、隣人と話し合って一緒に行動するのも良いですね。そうするとまた隣人同士が理解し合うことにつながります。


イマジネーションを働かせて、他者と話し合い、行動する。


それが「豊かな普通」につながっていくのだと思います。


エチオピア 1992年 © UNICEF/UNI53934/

ーーJIYUGAOKA de aone(自由が丘デュ アオーネ)内のイベントスペース、「de aone TERRACE CLUB(デュ アオーネ テラスクラブ)」は、さまざまな文化や価値観との出会いをきっかけに、多様な人が集まり、それぞれの意見をフラットに交換する場として運営していこうと考えています。


だから、テーマは「インスピレーションの庭」。

もし黒柳さんが何かここでイベントを行うとしたら何をしますか。


黒柳:人のために何か行動をしている人でもいいですし、そうじゃない人でもいいですし、たくさんのさまざまな考えを持っている人たちで集まって、大変な目にあっている子どもたちについてみんなで一緒に考えるイベントなんかが良いと思います。


またそうやってみんなで考えるという行為自体が、いかに大事なことかを認識しあえれば、良い未来につながると私は思います。


ーーありがとうございます! そういう場を作っていければと思います。


是非黒柳さんも「de aone TERRACE CLUB(デュ アオーネ テラスクラブ)」での活動にご参加いただけると嬉しいです。


黒柳はい、是非!


ーー最後に、ちょっと伺いたいことがありまして。


黒柳はい、どうぞ。


ーートットちゃんはトモエ学園に入る前、スパイになりたいってずっと言っていましたよね?


黒柳うふふふ。はい。


ーー今もその時の「スパイになりたいトットちゃん」はご自身の中にいらっしゃいますか?


黒柳そうですねぇ、今はスパイになるなんて怖いと思いますね。相当命がけでしょ、あの仕事。


そのことを考えるとね、ちょっと嫌だな、と思ったりもしますけど。


まぁでも、どうしてもやらなきゃならないような事態になったら・・・きっとやると思います!



インタビュー実施日:2023年7月14日 Vol.1はこちら Vol.2はこちら Vol.3はこちら

 

撮影:下村一喜

黒柳徹子(くろやなぎ てつこ)

東京・乃木坂生まれ。NHK専属のテレビ女優第1号として活躍。文学座研究所、ニューヨークのMARY TARCAI演劇学校などで学ぶ。日本で初めてのトーク番組『徹子の部屋』は48年目をむかえる。著作『窓ぎわのトットちゃん』は800万部というベストセラーの日本記録を達成し20以上の言語に翻訳される。日本語版の印税で社会福祉法人トット基金を設立。ユニセフ親善大使。日本ペンクラブ会員。ちひろ美術館館長。東京フィルハーモニー交響楽団副理事長。日本パンダ保護協会名誉会長。文化功労者。日本芸術院会員など。

instagram @tetsukokuroyanagi


インタビュー・構成 佐々木誠(ささき まこと)

映画監督 75年生まれ。近作に「ナイトクルージング」(19)、プロデュース作「愛について語るときにイケダの語ること」(21)などがある。ニューヨーク、ロンドン、フランクフルトなどの映画祭他、イェール大学、南カリフォルニア大学など海外での上映、講演も多数。和田誠氏(イラストレイター/映画監督)とのマコマコシネマトークなど対談イベント、「キネマ旬報」などでの映画評の執筆等幅広く活動。

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